ほうじ茶の印象を決めるのは、火によって生まれる香りです。
茶葉や茎を焙煎すると、原料に含まれる成分が熱によって変化し、炒った穀物や木の実、カラメル、花、乾いた木を思わせるような、さまざまな香りが生まれます。
ただし、焙煎を強くすれば必ずおいしくなるわけではありません。強い火入れは、わかりやすい香ばしさや力強さを生みます。一方で、原料がもともと持っていた甘みや繊細な香りが見えにくくなることもあります。
浅めの焙煎では、やわらかな甘さや原料由来の個性が残りやすくなります。深めの焙煎では、香りの輪郭が濃くなり、食事や牛乳に合わせても存在感を保ちやすくなります。
桶力茶店では、香ばしさの強弱だけで優劣を決めません。鼻に届く最初の香り、口に含んだときの甘み、飲み終えたあとの余韻までをひとつの個性として見ています。
ほうじ茶の香りは、焙煎だけで生まれるものではありません。どんな原料を使い、その魅力をどのような火入れで引き出したか。その組み合わせに、つくり手の考えが現れます。
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